心理セラピーとは〜いつ始めるのがベスト?

心理セラピーとは何か、考えてみたことはおありですか?日本では、カウンセリングという言葉は広く知られていても、心理セラピーという言葉はまだあまり知られていないのではないかと思います。もちろん、心理セラピーとカウンセリングの概念は被っているところも多く、同じものだと考えている人が多いのではないかと思います。

一番大きな違いは、カウンセリングは話を聞く、もしくは聞いてもらう、ということに重点を置いているのに対し、心理セラピーは問題の根本原因を探ったり、実際的な問題解決を見つける手助けをする、もしくはしてもらう、ということに重点を置いている点だと言えるでしょう。ややこしいのは、カウンセリングを受けている最中に、自分でひとりでに問題の原因が見えてきたり、解決法がわかったりすることもあるところです。ですから、カウンセリングを受けた結果、心理セラピーを受けた時と同じ効果が得られることもあります。でも、複雑な問題を抱えている場合、カウンセリングのみでそういったことが起こるのは稀かもしれません。それは、話を聞いてもらうことによって一時的に気分が良くなったとしても、根本的な問題解決には至らないことが多いからです。もう一つのややこしさは、心理セラピーにかかる全ての人が、問題を解決する心の準備ができている訳ではない、というところです。カウンセリングで自分の問題ははっきりしたけれど、実際に問題に取り組むのが怖い、また、今の生活や自分の性格を変える勇気がまだない、といった場合もあります。ですから、一概にどちらが良いとは言えませんし、今の自分に合っている方法を自分で選ぶのが一番です。

セラピーには、心理セラピー以外にも、フィジカルセラピー(理学療法)やオキュペーショナルセラピー(作業療法)、また様々な医療系のセラピーがあります。そのどれも、目的は症状の改善です。ですから、心理セラピーも心理的な苦痛の緩和を目的としており、トラウマによって傷つき、凝り固まった心のリハビリ方法の一つ、とも言えるのではないかと思います。

もしかすると、カウンセリングや心理セラピーなどは心の弱い人が行くものだ、とか、頭のおかしい人だけが行くのだ、と思っている方もいるかもしれません。けれども、心理セラピーも、上記に示したような医学的な療法の一つとして幅広く利用されるといいなと筆者は思っています。理由の一つは、複雑な現代社会においては、特定の人に限らず、誰もがストレスを抱えることがあるからです。もう一つの理由は、より多くの人が心理セラピーを活用するようになると、気分が良い人が増え、社会全体が向上するはずであるからです。例えば、仕事場にいつもイライラしている上司がいたとします。多くの場合、人がイライラするのは心理的なストレスを抱えているからです。そういった人が心理セラピーに行くことによって少しでも心が穏やかになれば、結果、その人だけでなく、その人を取りまく大勢の人々の生活のクオリティーが上がるのではないでしょうか。ひいては、その会社の業績が上がることさえあるかもしれません。それは、社会にとって大きなプラスです。

そもそも、カウンセリングや精神科にネガティブなイメージがついてしまったのも、問題が本当に酷くなってから治療に行く場合がほとんどだったからではないでしょうか。ですから、窮地に陥る前に、カウンセリングや心理セラピー、または精神科など利用して頂ければ、と心から思います。プロの立場からみても、早く治療を始めた方は、早く解決に向かうことが多いです。


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