「待つ能力」を高めることの大切さ

人生で大切なことは色々ありますが、「待つ」という日常的に行われている行為は、意外と取り沙汰されないものの、生きていく上での重要なキーポイントの一つだと言えるでしょう。待つことが上手くなる、つまり待ち上手になれば、様々なことが上手くいくきっかけになり得るはずです。今回はなぜそうなのかという理由と、待つことが苦痛でなくなるには、どのような心構えでいればいいかをテーマにしていきます。

まず私たちは、待つという行為を、待ち合わせの際に人を待っている時だけに行っているわけではありません。学校に入学すれば、入った瞬間から卒業するのを待っている、ということになるし、テストがあるのならば本番まで待ち、またテストを受け終わってからも、結果が返ってくるのを待たなければなりません。仕事に関しても、締め切りを待ったり、会議の日を待ったり、終業時間を待ったりと、一日の中で何かを待たない日はないと言っても過言ではないでしょう。もちろん、人と会う日を心待ちにしたり、旅行を楽しみにするといったようなことも、待つという行為のカテゴリーに入ります。大きな大会や発表会などを目標に何らかの練習を重ねている場合も、その日を待ちつつ努力を重ねているわけで、第一に、待つことを可能にする忍耐力や気力がなければ、大切な日が来る前に力尽きてしまうでしょう。ひいていえば、人間は、生まれた瞬間から(自分が)成長するのを待っている、もしくは誰かに待たれていますので、人生イコール待つことの連続だとも考えられます。ですから、我々人間は「待つ動物」だ、と言うことさえできるのではないでしょうか。

ということは、待ち方のスキルを高められれば、それを活用する機会は本当に多いので、人生の満足度がアップする可能性も高くなってきます。その第一歩は、まず「待つ」という行為の種類を理解することです。なぜならその種類によって、自分にできることとできないこと、そしてその分量がはっきりしてくるからです。

1.特定の日を待つ場合:これは、先ほど述べたように、試合の日やテスト、プレゼンテーション的なもの、もしくはデートや旅行など、すでに決まっている特定の時間や日を待つ場合です。通常この場合が一番、その日までに自分にできることの割合が多いはずです。ですから、この場合は「待つ」行為自体にあまり重点をおかず、自分のできることに集中するのが大切になってきます。ポイントは、目標の日(または日々)に最高のコンディションでいられる自分を想像し、そこに近づくために、今何をすればいいかを考えて行動することです。ゴールまでの日が遠いと、気力が萎えてしまうこともあるでしょう。でも、このイメージトレーニングを使うことによって、そもそもなぜ自分が努力しているかを思い出すことができるので、意外に効き目がありパワフルです。

2.物事の結果を待つ場合:これは、自分にできることはすべてやってしまい、結果は自分以外の誰かに委ねられている、という状況です。まず大切なことは、もちろん、本当に自分にできることは全てやったのかどうか、をチェックすることです。例えば、提出する書類をすべて提出したか、など、何らかのミスがなかったかを確認する。それもせずに自分にできることは何もない、と諦めてしまったり、こうすれば良かった、と後悔することに時間を使ってしまうことは、誰でもよくあることです。ただそれよりも、まだ何かできることがあるかもしれない、と考える方が、時間を有効に使っていると言えます。そうして、自分にできることが完全に0%だというのであれば、後は、結果がわかった後のことを考えるのが有効的です。結果次第で起こり得る様々な可能性を考え、それぞれのケースに従って自分はどうしたいのかと考え始めたり、心の準備を始めておくと後で役に立つし、どのような結果になってもそれほど落ち込むことはないはずです。あえてポイントを挙げるとすれば、常に最悪のケースを考えておく、ということでしょうか。このやり方にはやはり、最悪が現実になってしまった場合に、落ち込みを減らすという効果があります。ただ、最悪の場合のみを考えすぎてしまい、先に落ち込みすぎないように気をつけなければいけませんので、このテクニックはほどほどに使えればよいでしょう。

3.時間が解決する場合:この状況は1や2と似ているように見えて、少し違います。例えば、何かの病気にかかってしまった場合、自分の回復力を信じて、症状が和らぐのを待つことになるでしょう。ただその中で、自分にできることが全くないとも言えないのが、このケースです。例えば今の病気の例ですと、薬を飲んだり、できるだけ健康的なものを食べ、規則正しい生活をする。こういった基本的なことはできますし、誰かに日常生活の手助けを頼んだりすることもできます。しかし、大抵の場合、1や2よりも長期戦になってくるのが少しやっかいな部分です。待っている間も、状況が改善することを信じながら、コツコツと努力を続けなければならない場合が多いので、一番忍耐力を必要とされる状況ではあります。でも、だからこそ、ここで待つ力を発揮できれば、人生が好転する可能性は多いにあるでしょう。終わりが見えないことで、誰にそう言われた訳でもないのに先に絶望してしまい、努力をやめてしまう。そうすると、当然治る病気でも治らなくなります。この場合キーになってくるのは、他の人からのサポートです。これは考えれば当たり前のことですが、長期戦になればなるほど、人との繋がりや手助けが重要になってきます。言わずともがな、人間は、一人では生きられない生き物なのです。ですから、同じような状況の人がいるグループを探したり、どれだけネットワークを広げられるかが、コツになってくるでしょう。

今回のテーマは待つことでしたが、最後にもう一つのポイントをお話しします。それは、時に「待つことを止めること」も非常に大切だということです。結果が得られないことがわかっていて、それでも待ち続ける価値があるかないかは、一人ひとりが、それぞれの人生の中で決めることです。ただ、叶わない夢を追い続けたり、振り向いてくれない人を追いかけ続けたりしても、後に「時間の無駄だった」、と後悔することになるかもしれません。こういったことは、特に結果が自分の努力ではどうしようもない場合に起こる時が多いと思います。待つ能力を高めることはもちろん大切なのですが、せっかく高めたスキルをどうのように使うのかを決める能力、つまり、一定のところで見切りをつける力や、そもそも何を待つべきなのかを見極める力も、人生においてかなり大切です。が、これに関しては別のテーマになりますので、またの機会にご紹介したいと思います。